忍者ブログ

[PR]

2024年05月19日
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

ガラス玉ひとつ

2010年09月23日

*





小さな宝箱は、さらに紙の箱につつまれて机の奥に隠されていた。
なんとなく机を引っ掻き回していたときにそれを見つけて引っ張り出した。
奥底に隠された、だいじな、だいじなもののように。

乱暴に紙箱から取り出して、宝箱のふたもあける。
綿がつめられた羅紗の上に鎮座していたのは果たして。

「なんだ、ツマンネー」

手のひらに転がった小さなビー玉。七色に光をはじいてキラキラと輝いている。つまんで窓にかざすとその向こうは幻界のように光があふれていた。
綺麗。
だけど、
「こんなものはただのガラス玉だ」
ルークはビー玉も宝箱も紙箱もまとめて机の中に放り込んで片付けた。
そしてベッドに腰掛けて思案する。
記憶を失う前の自分はどうしてあんなものを大事そうにしまっていたのだろう。
考えても答えは見つからなかった。
PR